下肢静脈瘤プラザ|最新の下肢静脈瘤レーザー治療。|東京都江戸川区の江戸川病院・千葉県市川市のメディカルプラザ市川駅

Q.  74歳の女性です。料理教室など立ち仕事が多く、現在、蜘蛛の巣のような毛細血管が数か所浮き出て気になります。むくみはありませんが、だるいです。
整形外科で弾性ストッキングを勧められ購入。ひざ上までのそれを履きますと、締め付けるのがよくないのか逆に太ももの静脈が浮き上がってくるので使用をやめました。
現在、朝夕25分のウオーキングは欠かしません。放っておいて大丈夫でしょうか。

 

A. (回答)

 

蜘蛛の巣のような毛細血管が数か所見られるということは、スパイダーベインがあるわけですね。これは、皮膚の中にある毛細血管が拡張して肌の上から透けて見えるもので、ふつうは赤い糸のように見えます。

以下の2点について考えてみましょう。

 

1.むくみはないけれどだるさがある?

 

少し、この症状が気になりました。だるさは午後から夕方になると出てくる症状でしょうか?もし、そうであれば、朝方にはだるさはなくなって、快調になるのでしょうか?

 

だるさという症状は、血行性と神経性の二つの原因が考えられます。

 

血行性であれば、下肢に血液がよどんで循環が悪くなっている「うっ血」が主な原因であり、下肢の静脈性高血圧が疑われます。ですから、夜間横になって寝ていると、下肢の静脈内の血液は心臓に戻りやすくなり、うっ血は改善されてだるさは消えてしまいます。うっ血が起こると、下肢の静脈の毛細血管から血液の水分がしみだしやすくなるため、むくみが起こるのが特徴です。

 

むくみの原因は下肢の静脈の異常と全身からくる異常が考えられます。

 

下肢の静脈の異常とは、下肢の静脈に血液がよどむ状態を起こす機能異常があるということです。この代表例が下肢静脈瘤(下肢の静脈弁不全)ですが、エコノミークラス症候群(最近では、静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)と呼ばれています)も下肢に血がたまるため、むくんできます。

 

一方、全身からくる異常とは、静脈の機能は正常でも血液の量が増加したり、血流スピードが落ちることで、下肢にうっ血を起こす状態です。また、血液自体が薄くなっても血管から水分が漏れやすくなります。これには腎臓病、心臓病、肝臓病など内臓の病気が隠れていることがあります。このほか、全身に異常はないのですが、ストレスや利尿剤の飲みすぎなどによる特発性浮腫という状態もあります。

 

ところが、神経性であれば、朝になっても症状は変わりません。むしろ、腰や頸の骨(脊椎)に異常があると、それによる神経の圧迫で朝の方がだるさがひどいときもあります。これは、人間の脊椎はS字状に湾曲があるため、仰向けに寝ているとブリッジをしているように負担をかけています。ですから、脊椎に異常があると、脊髄神経やその枝に負担をかけるため、症状が悪化しやすいのです。ほかに、こむら返り、足指や膝下のしびれ、感覚異常(触っても感覚が鈍いとか、冷たく感じるなど)も起こりやすくなります。

 

従いまして、「むくみがない」ということは神経性の可能性があるのですが、上記のような症状はありますか?

 

むくみの有無の判断は、難しいことがあります。それは足の皮下脂肪の量により左右されますし、リンパ浮腫など血行性とは異なるむくみがすでに存在すると、見た目では全く分からないのです。

 

最もわかりやすい方法として、手の親指で膝下の皮膚を5秒間強く圧迫してみてください。指をはなしたところがへこんでいれば、むくみはあると考えます。これを圧痕性浮腫(あっこんせいふしゅ)といって、皮下脂肪に水分がたまった状態を示しています。皮膚が厚くなったり固くなる皮膚の病気がない限り、簡単にわかります。

 

先ほどお話ししたリンパ浮腫では、親指で押してもへこまないので、非圧痕性浮腫(ひあっこんせいふしゅ)と呼ばれています。ですから、リンパ浮腫にうっ血が起こると判断は難しくなります。

 

「むくみがない」というためには、手の親指でくるぶしの上あたりを5秒間圧迫してみてください。見た目でわからなくても、意外とむくみがあるかもしれませんよ。

 

2. 弾性ストッキングをはくと太ももの静脈が浮いてきた?

 

下肢のむくみの治療には尿がでるお薬(利尿剤)が処方されますが、直接的に効くのが弾性ストッキングです。

 

弾性ストッキングはくるぶしあたりの圧迫圧がもっとも強く、上に向かうにつれ段階的に圧が下がるよう設計されています。従いまして、ふとももの静脈の弁不全がない限り、膝レベルまでの弾性ストッキングで問題ありません。

 

静脈が浮くという症状は、前述した静脈性高血圧があることを意味します。静脈の圧が高くなる原因は、静脈弁の異常か全身性からくる血液量の増加があることなどがあります。

 

弾性ストッキングは膝下を圧迫することで、皮下脂肪の中を通る静脈(表在静脈といいます)を押しつぶします。従って、膝下の静脈の血流は、深部静脈といって血流のメインストリートを流れくれるため、表面からは血管の浮きはなくなります。

 

弾性ストッキングをはくと、立った状態では体で最も低いところにある表在静脈のある場所は、太ももになるわけです。すなわち、太ももの静脈性高血圧がおこるため、表面から血管が浮くのが見えやすくなります。弾性ストッキングをはかずに立った状態で足の甲の血管をみると、膨らんでいるのがわかりますよね。体の一番低いところの表在静脈圧が一番高くなるため、そう見えるわけです。弾性ストッキングをはくと、同じ現象がふとももに起こったと思ってください。

 

しかし、これが起こるからと言って弾性ストッキングをはかないというのは、問題の先送りになってしまいします。下肢の静脈血流異常がない方でしたら、そのようにはなりません。これは何らかの血流異常があるサインなのかもしれません。

 

その代表例が、太ももの内側を走る大伏在静脈(だいふくざいじょうみゃく)の弁不全がある場合か、全身の血液量が増加している場合です。下肢静脈瘤の専門医を受診しますと、下肢静脈超音波検査(エコー検査)で静脈弁不全を調べてもらえます。

 

これに異常がない場合は、全身のチェックになります。私は特に心臓超音波検査に注目しています。一般的には、心臓の収縮機能(血液を押し出す力)ばかりに目が行きやすいのですが、実は心臓弁膜症(たとえば、三尖弁閉鎖不全症)や拡張機能不全(心臓の膨らみやすさで、全身からの静脈血液を汲み上げる力)も重要なのです。この分野は、下肢静脈瘤専門医(フレボロジストといいます)と循環器内科専門医の診断境界領域で、医療機関を受診しても、なかなか診てもらえないことがあります。

 

弾性ストッキングをはくのをやめる前に、原点に立ちかえって、どうしてスパイダーベインやふとももの静脈が浮くのかを確かめる必要があります。皮膚表面には大きな静脈瘤がなくても、表在静脈の弁不全がある隠れ下肢静脈瘤や心臓病などの隠れ全身病がひそんでいるかもしれます。

 

朝夕の25分のワーキングは続けてください。歩くことで、ふくらはぎの筋肉が下肢の静脈血流を改善してくれます。

 

 

回答が長くなってしまいましたが、医療機関で下肢静脈血流のチェックをお受けになることを強くお勧めします。