下肢静脈瘤プラザ|最新の下肢静脈瘤レーザー治療。|東京都江戸川区の江戸川病院・千葉県市川市のメディカルプラザ市川駅

Q. 7~8年前より下肢静脈瘤があって、胸や背中にも皮膚病が再三でてきたので、そのつど皮膚科で治療していました。その後、右足の下肢静脈瘤にうっ帯性皮膚炎がでてきたので、昨年11月にレーザー手術を受けました。12月の定期健診で経過は良好でした。ところが、足の上部のうっ帯性皮膚炎や膝下の赤黒い皮膚の色素沈着がなかなか薄くなってきません。この状態よくなるにはどの位の期間罹るのでしょうか?(70代、女性)

A. 回答

 

うっ滞性皮膚炎は下肢静脈瘤の患者さんにとって、悩ましい症状のひとつです。私の外来にも、多くの患者さんが、下肢のむくみや赤くはれた後にできたこげ茶色の色素沈着に悩まれていらっしゃいます。

 

うっ滞性皮膚炎はどうして起こるのでしょうか?

 

「うっ滞性」とは血がよどむという意味ですので、下肢、とくに膝下に血がよどむことが、くるぶし周辺の皮膚炎の原因になります。

患者さんの中に、太ももにできた湿疹が下肢静脈瘤ではないかと心配されて相談に来る方がいます。うっ滞性であるとしたら、膝下は太ももよりも下にあるため、もっと多くの血液がよどみます。従って、ふとももにはできにくく、膝下に皮膚炎が起こります。ですから、太ももだけにある場合は、うっ滞性皮膚炎ではありません。

 

さて、本題のお悩みは、レーザー手術をお受けになり下肢のうっ滞がなくなったにもかかわらず、皮膚炎や赤黒い色素沈着が治らないということです。

 

うっ滞性皮膚炎という診断が正しければ、レーザー手術後には改善するはずです。それは手術により、太ももからの血液の逆流がなくなり、うっ血がとれるからです。ところが、赤黒い色素沈着はそう簡単には消えません。

 

このような色素沈着がある患者さんの中に、皮膚がカチカチに硬くなって部分的にやせたように見える方がいらっしゃいます。これは脂肪皮膚硬化症といわれています。うっ血による静脈高血圧から炎症がおこり、皮膚のみならず皮下脂肪まで変性して縮んできているのです。ここまで進むと、もはや皮膚だけの問題ではないため、もとのような皮膚には戻る可能性は低いです。

ただ、手術でうっ血がなくなることで、この状態が広がることがなくなります。そして周囲の健康な皮膚からの細胞再生で、範囲が狭くなり色素沈着は薄くなると思われます。

 

脂肪皮膚硬化症を伴っていない場合は、皮膚細胞の再生によって次第に薄くなってくると思います。しかし、治るまでの期間は、肥満、生活習慣、色素沈着の範囲や濃さ、全身性の病気などにより、正確な期間はわからないのが現状です。また、胸や背中に皮膚病があるということなので、この病気によっても色素沈着が消える期間は変わってきます。

 

もうひとつ気になったのが、レーザー手術の内容です。

 

皮膚病変を伴う下肢静脈瘤の重症度は最重症がレベル6であるところレベル4ですので、中の上レベルの重症度になります。このような患者さんの静脈逆流は、大伏在静脈という太ももの内側を通る血管に弁不全が起きていることがほとんどです。ですから、レーザー手術でこの静脈を焼きつぶすと、逆流がなくなり症状が改善するのです。

 

しかし、私の経験では、もうひとつ気をつけなければならないことがあります。それは、足の中心部を通る太い深部静脈と下肢静脈瘤の発生もとになっている表在静脈とをむすぶ穿通枝(せんつうし)と呼ばれる静脈の弁逆流です。

 

この状態は穿通枝不全(せんつうしふぜん)と呼ばれており、下腿をくまなく探さないと見つからないことがあります。だいたい、色素沈着がある部位の頭側にあることが多く、超音波検査で容易に発見することができます。問題は、診断の際にこれを意識した検査がなされているかどうかです。

 

もし、この治療をしていなかったら、レーザー手術だけではうっ滞性皮膚炎は治りません。実際に、他院でレーザー手術を受けましたが、うっ滞性皮膚炎が治らないため、私の外来を受診された患者さんがいらっしゃいました。超音波検査をすると、太い穿通枝がみつかり手術で縛って切断したら、1週間くらいで改善しました。

 

この穿通枝不全はレーザー手術後になってから悪くなることもあり、なかなか厄介です。治療をしてくれた専門医に確認をしてもらった方が良いと思います。

 

また、色素沈着にはビタミンCや保湿も改善をはやめてくれるので、試してみてください。

 

最後に、全身性の病気の可能性もつぶす必要があります。

 

うっ滞性皮膚炎は下肢静脈瘤のみが原因とは限りません。足に血がよどむ病気がある場合は、下肢静脈の弁逆流がなくても、うっ滞性皮膚炎は治らないのです。つまり、むくみが出ている状態でも出てくるのです。

心臓、腎臓、妊娠、ホルモン異常、血栓症、腹部の静脈血流障害などでも足に血がよどみます。下肢の静脈には問題がないのにうっ滞性皮膚炎が治らない場合は、循環器内科などで全身のチェックをすると良いでしょう。

 

そのほか、胸や背中の皮膚病が全身性にでやすい疾患でしたら、足の皮膚にも出てくる可能性があります。皮膚科のかかりつけ医にも、本当にうっ滞性皮膚炎なのか確かめてもらった方がいいでしょう。レーザー手術の後ですから、皮膚科の治療で良くなるかもしれませんよ。

 

長くなりましたが、下肢静脈瘤だけであれば、適切な治療がされることで良くなりますので心配はいりません。