硬化療法
本来なら、手術で引き抜いたり縛ったりしてしまう静脈の中に、硬化剤という薬剤を注入し、静脈の内側の壁と壁をくっつけてしまったり、血栓(血のかたまり)をつくり詰めてしまう方法です。硬化療法だけですべての下肢静脈瘤が治療できればよいのですが、軽度の静脈瘤以外には有効とはいえません。
不全交通結紮(けっさつ)術
なかなか治らない皮膚潰瘍がある場合、深部静脈と表在静脈とを結ぶ交通枝の弁不全が疑われます。このときは皮膚潰瘍の奥にある不全交通枝を結紮します。重症の患者に多くみられ、ストリッピング術や硬化療法と併用されます。
保存療法(圧迫療法)
医療用の弾性ストッキングや弾性包帯で、下肢に適度な圧力を与えることで下肢に余分な血液がたまることを予防し、下肢の深部にある静脈(深部静脈という下肢静脈の本幹)への流れを助けます。
医療用の弾性ストッキングは、医療施設で取り扱っているものが効果的です。薬局やスポーツ店で販売しているストッキングやサポートグッズは、効果的には劣ります。以前と比べ、現在の医療用弾性ストッキングは、デザイン的にも改良されサイズや仕様にも選択肢が増えてきました。
弾性ストッキングなどによる圧迫療法は、あくまでも進行防止・現状維持が目的で、下肢静脈瘤そのものが治るわけではありません。しかし、下肢静脈瘤の治療上とても重要です。
ストリッピング手術(静脈抜去手術)
下肢静脈瘤の根治的な治療法として古くから行われている手術で、弁不全をおこしている静脈を引き抜いてしまう手技です。施設により異なりますが、入院の場合(5~7日)は、全身麻酔あるいは下半身麻酔下で行います。また最近では、外来日帰り手術を行っている施設もあります。この方法は再発率が低く、一番確実な治療法です。ただしこの手術は、静脈を抜去しますので、まわりにある知覚神経にダメージを与えることがありますので、注意が必要です。また最近では、硬化療法を併用するケースも増えています。
レーザー治療・弁形成術・内視鏡使用の手術
下肢静脈瘤のなかでも、もっとも軽いタイプの網目状・クモの巣状とよばれる静脈瘤に適してします。不全弁を作り直す弁形成術や血管内視鏡を使う手術も同様です。静脈内にレーザープローブを挿入し、静脈内側をレーザーで焼灼する高度な最新の手術方法です。
高位結紮(けっさつ)手術 + 硬化療法
静脈を引き抜くかわりに、弁不全をおこしている静脈と本幹(深部の静脈)の合流部を縛ったうえで、切り離してしまう治療法です。日帰り外来手術が可能です。しかし、この方法でも完治しない症例がありますので外来にてご相談ください。最近では、硬化療法との併用が多く施行されています。